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2019年04月16日

お知らせ

現在、連載中の「北国の麗人」について、読者数も増えないようですので、連載はストップします。
労力の割に、読む方も一定で、力尽きました。悪しからず、お許しを!
posted by かず at 20:40| Comment(0) | 俺じゃない | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月27日

お詫び

誠にすみません。「北国の麗人」ですが、見立てが甘く、年内には、と思っていたのですが、ラストに向かう怒涛の盛り上がりにのめり込んでしまい、収拾がつかなくなってしまいました。今年中にアップする予定でしたが、来年になってしまいそうです。何とか、新年の1月上旬にはアップできるように頑張りますので、辛抱強く、お待ちください。今年は大変、お世話になりました。来年も宜しくお願いします。よいお年を。
posted by かず at 18:55| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年12月08日

北国の麗人_21

21

 翌日の午前十一時、広い樺島家のリビングルームに一同が集まっていた。
 石寺隼人の他、樺島家の事件を追っている道警捜査一課の管理官、伊吹翔太警視、樺島家から、樺島小百合、竜也、絢、田沢家から田沢潤、宮前家から宮前美枝子、裕太、執事の山崎成、執事補佐の小島菜々子、今は亡くなったよね子の代わりに、奥を取り仕切っている、松永明子。
 宮前美枝子が口火を切った。
「よね子さんの事件の関係で、裕太が取調べを受けたって聞いたわ。何故なの?私は昨日の夕方から裕太がいないって、捜していたのに。何故、裕太が警察に引っ張られるのよ?」
 石寺は落ち着いた様子でそれに答えた。
「裕太さんが警察署で事情聴取を受けていたのは事実ですが、二時間ほどで解放されましたよ。ただ、事情があって、裕太さんには宮前のお家に帰ってもらっていました。裕太さんは宮前のお家からここに来られたわけです」
 裕太が無言で頷いた。
「事情って何よ?電話をしても裕太に繋がらないことも関係するの?」
 石寺は表情一つ変えず、すっとぼけた口調で答えた。
「まあ、電話に出ないことに関しては、僕は事情を承知していませんが。ただ、今日は新たなことがわかったので、皆さんにお集まり頂いた次第です」
 美枝子はむきになって、言った。
「新たなこと?一体、それは何よ?」
 石寺はじっと、美枝子を見つめたまま、言った。「裕太さんの出生の秘密です」
 感情的な声色をさらに強めて、美枝子は言った。
「裕太の出生の秘密ですって?何ですか、秘密って?裕太には秘密なんて、一つもないわ。よく、そんなことが言えたわね」
「まあ、そんなに慌てずに。これからの僕の話をよく聞いて下さい」
 しかし、美枝子の興奮は止まなかった。難詰するように石寺に食ってかかった。
「あら、そう。石寺先生、裕太の出生の秘密って何よ?」
「それです。裕太さんの父親は樺島就平さんではありません」
「何ですって! 誰がそんなことを」
「家の皆様の証言を合わせると、そういう結論になります」
「へへ。残念だったわね。裕太は正真正銘の樺島就平の子よ」
「おや? 随分、自信があるようですね?」
「だって、それは、あっ・・・・・・」
「そう、だってDNA鑑定をしたからでしょ?札幌の研究機関で」
「・・・・・・・・・」
 その場にいた全員が美枝子の方を向いた。 
「貴女が解放された日、夜まで樺島家に戻らないあなたは札幌にいたのです。貴女は本当は裕太さんの父親が誰であるか、不安に思い、民間の研究所に鑑定を依頼した。結果は貴女の満足するものだった。裕太さんは就平さんのお子さんでした。よね子さんが潤さんに話があるとメール連絡したのはその後のことです。だが、それはよね子さんがメールしたものではない。あなたが“よね子さんの携帯”を使って、潤さんに連絡したのです。それはそうです。あなたは潤さんのメールアドレスを知らない。それ以上に、あなた自身がメールをしたとすると、あなたにいらぬ疑いがかかる。だから、あなたはよね子さんから携帯を借りて、そこから潤さんのアドレスを捜し、あくまで、よね子さんが潤さんにメールをしたと警察に思わせたのです」
 美枝子はため息をつきながら、言った。
「あらまあ、大胆な推理をされるお方だこと。でも、私がよね子さんの携帯を使ったって、証拠でもあるの?私の指紋でも付いていたのかしら」
 石寺は微笑みながら、答えた。
「そんなものは付いていませんよ。それだったら、警察はもっと早く、あなたに事情聴取しているでしょう。でも、あのメールはよね子さんが発信したものではない。いや、発信しようにも、発信できなかった。潤さんの携帯にメールが届いた、あの日の午後五時五十八分。よね子さんは札幌から旭川に向かう高速道路を走っていた。高速を走りながら、メールを打つのは無理ですよ」
 美枝子はむきになって、言った。
「もしかしたら、途中のサービスエリアに寄って、打ったのかもしれないじゃない?」
 石寺は美枝子に背を向け、腕組みをしながら、言った。
「オービスとかNシステムって知ってます? 速度違反や信号無視などの交通事犯を取り締まる器械でね。時速九十キロで車を運転しているよね子さんが借りたレンタカーがあの日、午後五時五十五分に映っていましてね。それから、三分後に携帯でメールを打つのは、物理的に無理です。もし、そんなことをしようと思ったら、途中で車を止めて、打つことになりますが、そんな車は一つも確認されていない」
「だとしても、その何とかとやらに私が映っていたの?」
「いいえ。映っていません」
「そら、ごらんなさい。そんなもの、私とは関係ないわ」
 石寺は美枝子に背を向けたままの状態で、話し始めた。
「関係あるか、ないかは後で、お話しするとして、あの日、何が起こっていたかをお話ししましょう。まず、弁護士の田所先生殺害の件で、警察の事情聴取を受けた後、解放されたあなたは裕太さんに連絡して、自分を札幌駅に送り届けるように頼んだ。あの日、裕太さんが出張だったことをあなたが知っていたかどうかはどうでもいい。あなたは三つの用事で、あの日、札幌に行く必要があった。一つはさっき言った、裕太さんが樺島就平さんの実子であるとの証明書を受け取るため。一つは松尾ファイナンスという街金、これは地元のヤクザのフロント企業なんですが、ここに一千五百万円という借金を返すため。そして、最後は一千五百万円を借りたことで明らかになってしまった、あなたの家の経済状況を知ることになったよね子さんを殺害する準備を整えるため」
 美枝子は少し観念したような表情で、石寺の背中に向かって、言った。
「一つ目と二つ目は調べれば、すぐわかること。だから、認めるわ。でも、三つ目は何をおっしゃっているのか、さっぱり、わからないわ」
 石寺は背を向けた姿勢を変えることなく、言った。
「一つ目の鑑定結果の受け取りはあなた自身がした。だが、二つ目の借金返済はあなたではなく、よね子さん自身がした。あなたの指示というわけではないと思う。よね子さんの意志だと思います。よね子さんは松尾の奴らに二度とあなたに金をかさないよう、証文を取った。これは松尾の連中が吐いたことだから、間違いはないが、よね子さんの遺留品の中にはこの証文と一千五百万円の領収書がなかった。つまり、あなたが抜き取ったわけだ。
そして、恐らく、裕太さんの依頼だと言って、札幌の流通センターで、120メートルのロープと寝袋、そして、あなたが履くための白のスニーカーを買わせた。それをレンタカーのトランクに乗せた後、あなたはよね子さんと合流し、旭川に戻ってきた。Nシステムに映っていた車にはあなたも乗っていたんだ。ただし、助手席ではなく、後部座席に。疲れたから寝たいとでも言えば、簡単なことだ。そして、潤さんにメールがしたいと言って、よね子さんの携帯を借りた。アドレスを知らないというあなたの言い分も他の方々の話を聞いてみれば、さもありなんという事実だ。だが、携帯を借りたのは、あなたは自分がメールをするためではなく、よね子さんが潤さんにメールをしたように見せかけるため。後部座席に寝そべって、潤さんあてのメールを打った。だが、あなたはすでにミスをおかしていた」
 樺島小百合が訊ねた。「ミス?どんなミスを?」
「そのメールを発信履歴から削除してしまったことです。そりゃそうだ。自分で打った覚えのないメールが発信履歴に残っていたら、誰でも不審に思う。だから、あなたは消去したんだ。でも、普通に考えれば、メールは着信側に履歴が残る。潤さんによね子さんが発信した記録を名目上、消したければ、潤さん側にも消してもらわねばならない。だが、潤さんはそんなことはしない。発信履歴はないが、着信履歴は残る。ということは発信された時刻と内容は残ってしまう」
 石寺は一旦、話を切り、一呼吸置いた上で、再び、話し始めた。
「高速の旭川口に着いたのは午後五時半ごろ。あなたは旭川駅の方に向かうよう指示して、駅の近くでレンタカーを降りた。そして、よね子さんに“展望台”で待つように指示した。樺島家にとっては“展望台”は秘密の話をする場所。恐らく、あなたは事の顛末を“展望台”で話すと言って、指示したはず。樺島家の中においては不思議ではない。レンタカーを降りた後、あなたは殺害と、そのアリバイ作りを確固たるものにする準備をした」
 樺島達也が呟いた。「アリバイ作り?」
 石寺はその呟きを無視するように話し続けた。
「よね子さんは貴女を下ろした後、“展望台”に向かった。恐らく、到着したのは午後七時時半過ぎくらいだと思う。そして、準備を整えたあなたは、少し遅れて、“展望台”に向かった。その差は二十分くらいでしょう。あなたは“展望台”で待つよね子さんに睡眠薬入りのコーヒーを飲ませて、眠らせた後、崖から転落させた」
 美枝子は大声で笑った後、背を向けたままの石寺に言った。
「何を言い出すかと思いきや、とんでもない推理をする弁護士さんね。私が眠ったよね子さんを突き落したとでも、投げ落としたとでも言うの?あそこは転落させようと思っても、転落防止用のネットがあるから、そこに引っ掛かってしまうのよ。それに、時間が合わないわ。死亡推定時刻は午後十一時頃でしょ?突き落したか、投げ落としたかは知らないけれど、その時刻から、この樺島のお家に戻るには二時間近くかかるわ。それに私は十一時過ぎに旭川駅に裕太を迎えに行っているのよ。それは警察でも証明してくれたわよ。私によね子さんをあの崖から落として、十一時半に樺島家に戻って、石寺先生にお話をするのは無理よ」
 伊吹が腕を組んで、唸った。「そうなんだよな。そこが不可能なんだよ」
 背を向けていた石寺が、皆の方を向き直り、にやりと笑いながら、言った。
「誰が突き落したとか、投げ落としたとか言いました?。突き落したのでもなければ、投げ落としたのでもねえ!引きずり落としたんだんよ!」
posted by かず at 17:59| Comment(0) | 北国の麗人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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